磨崖仏

牛根麓脇田の造船所跡と前崎より約500mの所の凝灰岩の岸壁に石仏が彫り込んである。以前は土砂に埋もれ誰一人知るものもなかったが、太平洋戦争時軍事基地を構築するため土砂を採取するとき偶然に発見されたものである。

諸国邂逅の僧が亡き妻のために一大岸壁に仏像を彫刻して菩提を弔ったものと思われる。又尼僧の左右には燈籠も刻まれている。右燈籠には正保4年(1647)妙香禅尼、一二月二六日と彫られている。これにはこんな話が残っている。

この土地の持ち主の妻が髪の毛が抜けるので恥ずかしくて外出できなくなった。仕方がないので占いをしてもらったところ、仏様が岩の下に埋まっておられる。早く掘り出せと夢を見た。そこで掘ってみたら磨崖仏が出てきた。夫婦は信心して花香を捧げ、懇ろに弔ったところ妻の頭は毛も生え元通りになったという。

この磨崖仏のあるところは写真のようなビワ畑の後にあり、見た目には崖などありそうにないところです。ビワ畑の後の藪のような所に分け入ると、平らなところがあり、その奥に見えてきます。

ここも、大正三年櫻島大噴火の降灰で埋まり、忘れ去られたまま、上記のような経緯で発見されました。実際はこの下にまだ史跡としての部分が隠されていると言われています。